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暮らしお役立ち情報 No.71

[サービスコード/P00255-00001]
事前申し込みなどは不要。 裁判の傍聴は、だれでもできます。
暮らしお役立ち情報 No.71

ニュースやドラマで見たことのある裁判所。自分の生活にはあまり縁がなく、近寄りがたい印象のある方も多いかもしれません。裁判所は、公平な裁判を通じて、憲法で保障されている私たちの権利や自由を守る、大切な役割を担っています。
裁判は、原則としてだれでも傍聴することができ、事前の手続きなども不要で中に入ることができます。
5月3日は憲法記念日、5月1日~7日は憲法週間です。この機会に、裁判所の仕事と役割について紹介します。

裁判所の役割


私たちは、毎日、様々な社会生活のルールに従って暮らしています。そのようなルールの中には、法律や契約などがあります。しかし、ルールはあってもそれが守られなければ、争いごとが生じます。このような社会の中で起こる争いごとを、憲法や法律などに照らし合わせ、公平な裁判を行い、解決に導く国の機関が「裁判所」です。


公平な裁判を行うための最も基本的なルールは、昭和22年5月3日に施行された「日本国憲法」です。日本国憲法は、国の統治のしくみを定め、国民の権利を保障することを目的とした国の最高法規です。日本国憲法によって、男女平等や教育を受ける権利、表現や学問の自由、政治に参加する権利といった私たちの「基本的人権」は保障されており、様々な法律もすべて憲法に基づいてつくられます。
また、公平な裁判を行うため、司法権を担う裁判所は、立法権を担う国会や行政権を担う内閣から独立し、日本国憲法が保障する私たちの権利と自由を守る役割を担っています。

裁判にはどのようなものがあるの?

民事裁判・民事調停
貸したお金を返してくれないなど、日常生活で起こる法律上の争いを判断して解決する裁判です。
「民事裁判」では、法廷で、裁判官が双方の言い分を確かめ、証拠を調べた上で、法律に照らして、判決を言い渡すほか,双方が合意して和解することもあります。
また、裁判官と調停委員(※)のあっせんで、話し合いによって円満解決を図る「民事調停」という非公開の手続もあります。

※調停委員は、調停に一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。


刑事裁判
窃盗や詐欺、殺人、傷害など罪を犯した疑いで起訴された人が有罪か無罪か、有罪であればどのような刑罰を科すかを決める裁判です。
刑事裁判では、起訴する側の検察官と、起訴された人(被告人)やその弁護人の言い分をよく確かめ、それぞれの側から出された証拠を調べ、被告人が本当に犯人であるかどうかを判断し、無罪あるいは有罪の判決をし、有罪の場合は刑を言い渡します。


家事審判・家事調停・人事訴訟
「家事審判」は、後見人の選任や未成年者の養子縁組の許可などの問題について、裁判官が事情を調べて、適切に判断をする手続です。
離婚や養育費、遺産分割などの夫婦間や親族間の問題などでは、主として「家事調停」が行われ、裁判官と調停委員(※)が当事者や関係者の言い分をよく聴き、事情を調べた上で、納得のいく公平で妥当な解決をあっせんします。
「家事調停」で解決できなかった場合、養育費や遺産分割などについては家事審判に移って裁判官が判断をしますが、離婚などについてはそれを求める人が民事裁判の一つである「人事訴訟」を起こすことになります。

家庭に関する争いは、プライバシーに配慮することが重要であることから、家事審判、家事調停は非公開で行われます。


少年審判
非行少年、つまり罪を犯した少年や、罪を犯すおそれのある少年などについて、過ちを自覚させ、更生させることを目的とした手続です。調査や審判は、保護者にも出席を求めて、原則非公開の手続で、和やかな中にも、非行について反省を促すような相応の厳しさのある雰囲気のもとに行われます。

公正な裁判とは

公平で慎重な裁判を行い、裁判の誤りを防ぎ、人権を守るために、「三審制」という仕組みが導入されており、裁判所の判決などに納得がいかない場合には、原則として、2回まで、上級の裁判所に不服を申し立てることができます。

裁判所には、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所があり、最初の裁判(第一審)は事件の内容によって、原則として、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所のいずれかで行われます。

地方裁判所では民事裁判や刑事裁判などを、家庭裁判所では家事審判・家事調停や少年審判、人事訴訟などを取り扱います。また、簡易裁判所では、争いとなっている金額が比較的少額の民事裁判と比較的軽い罪の刑事裁判のほか、民事調停なども取り扱います。

高等裁判所は、原則として、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所の裁判に対してされた不服申立て(控訴など)を取り扱う裁判所です。

最高裁判所は、高等裁判所などの裁判に対してされた不服申立て(上告など)を取り扱う最上級、最終の裁判所です。最高裁判所は最高裁判所長官と14人の最高裁判所判事で構成されており、最高裁判所の審理は、全員で構成する大法廷と、5人ずつで構成する三つの小法廷で行われます。事件はまず、小法廷で審理され、法律や命令、規則または処分が憲法に適合するかしないかを判断するようなときは、大法廷で審理および裁判が行われます。最高裁判所の判断は最終のものとなり、さらに争うことはできません。

裁判を傍聴するにはどうしたらいいの?

裁判を傍聴することは、私たちが司法の役割を知ったり、身近に感じたりする機会になります。また、傍聴を通じた国民の適正なチェックによって、公平・中立な司法の維持にもつながります。
公開の法廷で行われる裁判は、原則として、だれでも傍聴することができます。法廷が開かれていれば、事前の申し込みなどの特別な手続をしなくても、中に入り、自由に傍聴することができます。どのような裁判が行われているのかは、法廷の入口に掲示されている裁判の予定表(開廷表)で確認してください。
なお、傍聴希望者が多い事件では、傍聴券が必要な場合があります。
また、傍聴するときには、裁判の妨げにならないよう、次のようなマナーを守ってください。


5月3日は憲法記念日、5月1日~7日は憲法週間です。
各裁判所では、この時期に合わせて、裁判所についてより理解を深められるイベントを行っています。
開催についての詳細は、参加希望の裁判所にお問合せくだあい。

 

 

編集:チームコンシェルジュ
引用:取材協力 最高裁判所 文責 政府広報オンライン