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秋の味覚きのこ採り、山岳遭難に注意!
美しい紅葉と美味しいきのこ、秋の山は魅力がいっぱいですが、山岳遭難者は年々増加しています。お出掛けの時はしっかりと準備することが大切です。
依然増加、中高年の山岳遭難
平成29年(2017年)には2,583件の山岳遭難が発生し、計3,111人が遭難しています。そのうち死者・行方不明者は354人でした。発生件数、遭難者数は統計の残る昭和36年(1961年)以降で最も高い数値になりました。発生件数、遭難者は年々増加傾向にあります。
山に入った目的別に遭難者の割合をみると、1位が「登山(ハイキング、岩登り、スキー登山などを含む)」で全体の71.5%、2位が「山菜・きのこ採り」(12.2%)となっています。
年齢別にみると、60歳以上が全遭難者の51.0%を占めています。そして死亡・行方不明者においては、60歳以上が64.7%にはね上がります。
平成29年 山岳遭難者の年代別割合(n=3,111人)

きのこ採り、思ったより危険?
全国的には登山での遭難者にくらべ、山菜・きのこ採りでの遭難者は1/5にも満たないのですが、北海道ではほぼ同じ件数発生しています。

山菜採り遭難の様態として、行者ニンニク採りによる滑落、タケノコ・きのこ採りにおける道迷いが多くなっています。例年5月6月の発生が多く8割以上を占めていますが、過去3年間を通して、1割以上が9月から11月の間で発生しています。
遭難したら高額な捜索費用がかかることも
遭難事故が発生したら、警察や消防が出動します。捜索が困難な場合には、自衛隊や海上保安庁が出動することもあります。こういった公的機関が出動した場合には、捜索費用は税金でまかなわれるため、原則として無料です。
しかし、公的機関は人手に限りがあります。遭難者の救助は一刻を争うため、民間の救助隊へ出動が依頼されることもありますが、こちらは有料となります。
捜索費用の一例

この他にも、ヘリコプターを飛ばすとさらに捜索費用は高額になってきます。険しい山を登るわけではないからと油断せず、山に入るときにはしっかりと準備をすることが何より大切です。
こうして防ごう!山岳遭難
山岳遭難の多くは、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てたり、天候に対して適切な判断ができなかったりするなど、知識・経験・体力の不足などが原因で発生しています。しかし、山菜・きのこ採りでは、夢中になって探しているうちにどんどん山の奥へ入って行ってしまい、全く周囲がわからなくなり、来た道もわからなくなってしまう道迷いが多いのも事実です。安全に山を楽しむために、次のことに注意しましょう。
● 家族や身近な人に、行き先や帰宅時間などの行動予定を必ず連絡してから出かけましょう。
● 慣れた山でも油断は禁物。一人よりも、誰かと一緒に行きましょう。
● 山の天気は急変します。天気予報に注意して、悪天候での入山は絶対にやめましょう。
● 万一、遭難したときに地元の警察などに通報して助けを求められるよう、携帯電話やスマートフォンなどの通信手段を携行しましょう。また、山ではバッテリーの消耗が速くなることがありますので、予備のバッテリーをお忘れなく。
● 道迷いに備えて、ホイッスルを持っていくのも有効です。声を出すより負担が少なく、実際にホイッスルが捜索に役立った事案もあります。
● 秋は日没が早いので、早めの下山を心がけ、午後3時には下山しましょう。
● クマの出没情報や、毒キノコにも注意。危険な動植物には近づかないようにしましょう。
きのこより大切なあなたの命。遭難には十分気を付けて、秋の山歩きをお楽しみください。
編集・脚本 チームコンシェルジュ
<掲載内容の情報源・根拠>
・政府広報オンライン
水の事故、山の事故を防いで、海、川、山を安全に楽しむために