COOP SAPPORO コンシェルジュ

暮らしお役立ち情報 No.32

[サービスコード/P00172-00001]
きちんと眠っていますか?睡眠で心も体も健康に!
暮らしお役立ち情報 No.32

世界的に見ても、睡眠時間が極めて短いと言われる日本人。しかし、心と体の健康のために、睡眠をおろそかにしてはいけません。睡眠中にどんなことが起こっているのか、知っておきたいことをまとめました。

健康と睡眠

健康のためには睡眠が大切。睡眠不足は体にも心にも悪影響を及ぼす。ということは、みなさん百も承知のことでしょう。しかし、現在、日本人の3人に1人が睡眠について何らかの問題を抱えていて、5人に1人が不眠を悩んでいるといいます。睡眠が大切なことは知っていても、実際に睡眠によってもたらされる体への影響を具体的には知らない人が多いのかもしれません。人は、腐ったものを食べると必ずお腹をこわすことがわかっているので食べません。一方、睡眠は1時間や2時間減らしても体にどんな影響があるかわからないので、少しくらいなら構わないだろうと、忙しい日々で足りない時間の帳尻を合わせるために睡眠時間を削ってしまってはいませんか。

では人が眠っているとき、体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
人が眠る最大の理由は、体と脳の休息です。一日の疲れを取り除き、翌日元気に活動するために体と脳の機能を回復させるのです。

体の休息

人は眠ると、脳下垂体から成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは、タンパク質の合成を促進し、細胞の再生と増殖を促し、糖質の代謝を調節し、脂肪の分解を促します。骨や筋肉、心臓や肝臓など全身の臓器や器官の古くなった細胞を新しい細胞と入れ替え、血糖値を正常に保ち、脂肪をたまりにくくするなど、体を修復し、一定の状態に保たれるようにバランスをとる役目をはたしているのです。成長ホルモンは、入眠から3~4時間くらいの間に多く分泌されるため、午後10時から午前2時はお肌のゴールデンタイムなどと呼ばれることがありますが、眠り始める時間によって変わりますし、4時間を過ぎても成長ホルモンの分泌が終わるわけではありません。成長ホルモンの分泌時間だけ眠ればよいのではなく、それに伴う体の修復と休息のための時間もしっかり眠りたいものです。

脳の休息

一方で、眠っている間、脳は休息するとともに記憶の整理も行っています。
脳は疲れてくると、うまく体に指令を出せなくなります。反射神経や集中力が低下してきたり、感情を制御出来なくなったり、その場にふさわしい判断が下せなくなったり、考える力が落ちたりします。そのため、意欲や自己評価が低下し、精神的ストレスが蓄積されていく悪循環に陥ります。脳の疲れは、私たちのさまざまな活動に影響してしまうのです。
例えば、夜に書いた手紙を、一晩寝て朝に読み返したら、あまりの感情的な文章に恥ずかしくなって出せなかった、という経験はありませんか。こういう現象も、日中の活動で脳が疲れてしまっているために起こります。脳が疲れてしまうと、理性的な判断や客観的な分析ができなくなってしまうのです。

記憶の整理

そして、起きている間に集めたたくさんの情報を、脳は眠っている間に整理して記憶させています。
人は起きている間、たくさんの情報に接しています。その中には重要な情報から、忘れてしまってもよい情報までさまざまです。しかし脳は、その場ですぐ情報を仕分けることは出来ません。ひとまず情報をどんどん蓄積していって、睡眠時に整理を行うのです。大事な情報は短期記憶から長期記憶に変換して、しかもそれぞれの記憶にインデックスまでつけるといいます。
なかなか進まなかった仕事や問題が、翌日または数日後に急にするすると進んだり解けたりする、こんな経験をしたことはありませんか。人は、脳の中の情報と情報が繋がった時にアイデアがひらめきます。睡眠中に脳が情報たちを整理して、繋げやすいようにインデックスをつけておいてくれるおかげなのです。
また、記憶される情報は、体験した出来事や感情などのエピソード記憶だけではありません。自転車の乗り方や楽器の演奏、スポーツなどの体で覚える手続き記憶も同じです。このような手続き記憶は、一度覚えてしまうと、その後ブランクがあっても体が勝手に動いてくれたりするものです。どうしても出来なかった技が、ある日突然出来るようになる、という経験も、睡眠中に脳が記憶の整理をしていてくれるからなのですね。

どのくらい眠ればいいの?

このような体と脳の休息をしっかりと行うためには、どのくらいの睡眠が必要なのでしょうか。それぞれの体質によっても差があるようですが、だいたい7時間半というのが一般的です。その睡眠の質を高めるために、就寝の何時間前までに夕食を済ませるだとか、お風呂に入って体温を上げるとか、ハーブの香りがいいとか、ストレッチをするといいとか、いろいろな方法があります。でも、まずは、眠っている間に、体でどんなことが起きているのかしっかり理解しておくことが大切です。
夜、疲れたから一息つきたいと、何をするでもなくダラダラ起きているより、7時間前後眠ったほうが、体の疲れが取れて、絶望的な気持ちになった出来事に対しても、理性的な判断を取り戻して「そんなにたいしたことじゃなかった」なんて思えるようになるのです。そして、明日のひらめきのためにも記憶の整理をしっかり行っておきましょう。
体のためにも、心のためにも、睡眠時間は十分に確保したいですね。


編集・脚本 チームコンシェルジュ

〈参考文献〉
小林 弘幸『自律神経の名医が実践「寝入りが9割」の睡眠技術』2018年 ポプラ社
白川 修一郎『脳も体もガラリと変わる!「睡眠力」を上げる方法』2013年 永岡書店
大谷 憲『免疫力を高める眠り方』2010年 あさ出版