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暮らしお役立ち情報 No.36

[サービスコード/P00176-00001]
外出しにくい今だからこそ!老前整理でこれからの生活を豊かにしましょう!
暮らしお役立ち情報 No.36

「終活」がブームになり、いつしか一般的な言葉になりました。それとともに「生前整理」「老前整理」「遺品整理」という言葉も広まりつつあります。今回は「老前整理」について考えておきたいことをまとめました。

老前整理とは?

「生前整理」と「老前整理」の違いをご存知でしょうか。自分の死後、残された家族が、相続や遺品整理で苦労しないように、あらかじめ財産などを整理するのが「生前整理」。それに対して、「老前整理」は、老いに備えて、自分が快適に生活できるようにするための整理です。

老前整理は早いうちに

「老前整理」というからには、老いてから、もしくは老いる直前に、身の回りのものを少しずつ整理し始めることだと思われかもしれません。私はまだまだ若いし、今から死ぬ時のことなんて考えられない、と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし、「老前整理」は亡くなった時に困らないように行うものではなく、これから快適に生きていくための整理です。20代や30代で始めても全然おかしいことではありません。むしろ早く始めれば始めるほど、生き生きとした人生がより長く楽しめるようになります。

老前整理のメリット① 体力と気力のあるうちに!

早くから「老前整理」を始めるメリットには、どんなことがあるでしょうか。

まず、物を整理するためには、体力と決断力が必要になります。不要なものを集め、地域のルールに則って処分することは、意外と体力を使います。洋服も1着なら軽いですが、10着、20着になると、運び出すだけでも一苦労です。

そして、必要なものと不要なものを仕分けていく作業に決断力は欠かせませんが、残念なことに決断力は加齢とともに衰えていくのが常です。何かを決断して変えていくことは大きなエネルギーが必要になるため、人は年を取れば取るほど、環境の変化を避けるようになるのです。

老前整理のメリット② 転倒事故防止!

続いて、物を片付けることで転倒事故の防止になります。

実は、高齢者にとって、転ぶなどの転倒事故は、その後の生活を左右するかもしれない重大な事故につながる場合が非常に多いのです。東京消防庁によると、事故で救急搬送される高齢者の8割が「転ぶ」事故によるもので、そのうちの5割以上が「住宅等居住場所」、つまり家の中で起こっているといいます。

また、厚生労働省の資料では、家庭内での「転倒・転落」事故による死亡数で一番多いのが「同一平面上」での転倒です。平らな床でなぜ転倒するのかというと、物があるからです。ちょっとしたつまづきによって、命を失ってしまうことは、決して珍しいことではありません。

老前整理のメリット③ お財布にも優しい!

そして、意外に思われるかもしれませんが、たくさんの物を抱え込むことで、結果的にお金を浪費してしまうこともあります。

人が管理できる物の数には限界があります。例えば洋服。どんな色のどんなデザインの服を持っているか、全て把握しているでしょうか。たとえばセールで安かったからと買ってきて、同じようなものが家にあったという経験はありませんか。あのスカートに合うと思って新しくブラウスを買ってきて、いざスカートを引っ張り出してみたらすっかり黄ばんでしまって着られなかったなんてことも。

実際に整理を始めてみると、メモ帳やペンなどの文房具や、ハンカチや靴下などの小物類、調味料や缶詰などの食材などが面白いくらいに出てきたりします。本が好きな方だと、全く同じ本が複数冊、ということも珍しくありません。それらを全てお金に換算したら…もったいなくて考えるのも嫌になりますね。

老前整理は少しずつ ~極意は「ダイエット」と同じくコツコツと~

さて、では整理を始めようかと、家中ひっくり返してしまうと、一日で終わる訳もなく、日常生活にも支障が出てしまいます。老前整理のコツはダイエットと似ています。一気にやろうとすると、挫折してしまいます。食べすぎている食事の量を減らし、運動して消費カロリーを増やし、そしてせっかく食べるなら体にいいもの、美味しくて栄養のあるものに変えていくことで、痩せるだけではなく健康で美しい体を手に入れることが出来るのです。老前整理も同じです。まずは、買ったりもらったり物を増やすことを減らし、家にある不要なものを少しずつ処分します。そして、しまい込んでた戴き物の上等なタオルや食器などが見つかったら、思い切って使ってみる。ふわふわのタオルで体を拭いて、キレイな食器で食事をすると、自然と心も華やいできて生き生きとするものです。

生き生きと暮らしていくために

死に向かうための準備ではなく、これからの人生を豊かに輝いたものにするために、少しずつ身の回りの物を片付け始めてみませんか。


編集・脚本 チームコンシェルジュ

〈参考文献〉

『心も暮らしも変わる片付け術「老前整理」をはじめてみれば』坂岡洋子著 PHP研究所 2012年
『新相続対応!完全版実家の片付け方 親の心のケアから相続・遺品の整理まで』「実家の片付け」プロジェクトチーム著 KADOKAWA 2015年