COOP SAPPORO コンシェルジュ

暮らしお役立ち情報 No.37

[サービスコード/P00177-00001]
レジ袋有料化の背景 ~海に漂うプラスチックごみ問題~
暮らしお役立ち情報 No.37

2020年7月1日から、レジ袋が有料化されました。その根拠となるのが、海に流れ出しているプラスチックごみ問題です。何が問題になっているのか、生活の中で私たちにどんなことができるのか、一緒に考えてみましょう。

レジ袋有料化について

2020年7月1日から、コンビニ、ドラッグストアやデパートなどで、レジ袋が有料になりました。スーパーでは、お弁当の袋など、一部無料だったものも全て有料になりました。しかし、フリーマーケットの商品を入れるための袋は無料でもOK。試供品を袋に入れて渡すのも無料でOK。それから、一部の飲食店では無料で配布しているところもあり、お店によって値段もまちまち…みなさんはこの理由がわかりますか?私たちの生活に直結している制度ですが、意外と内容を理解している人は少ないのではないでしょうか。

レジ袋有料化義務化制度

① 対象となる事業者
 プラスチック製買物袋を扱う小売業を営むすべての事業者。

したがって、フリーマーケットは反復継続性などをもとに事業にはあたらないため、対象外となります。

② 対象となる買物袋
 有料化の対象となるのは、購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買物袋。

したがって、試供品は商品ではないため対象外となります。
また、紙袋や布の袋、持ち手のない袋はもちろん対象外ですが、プラスチック製買物袋でも、下記のものは対象外となります。

●プラスチックの厚さが基準以上で繰り返し使うことができる袋
●微生物によって海洋で分解される袋
●バイオマス素材の配合率が基準以上の袋

レジ袋の素材によっては有料化の対象外となり、7月以降も継続して無料で配布する店舗もあるのはこのためです。

③ 価格設定や売上の使途
 価格も売上の使途も、事業者自ら設定するが、1枚あたりの価格が1円未満になるような価格設定は有料化に当たらない。

お店によってレジ袋の値段が違うのは、こちらが根拠となります。

プラスチックごみ問題

現代の私たちの生活にはプラスチックがあふれています。プラスチックは加工しやすく、軽くて丈夫で持ち運びしやすいため、レジ袋や発泡スチロールなどの包装資材だけではなく、洋服や自動車、建設資材に至るまで、世界中でさまざまな製品に使われています。その生産量は過去50年間で20倍にも増え、年間3億トンを超えるまでになりました。今後もさらに増えていくことが予想されています。

それとともに、ごみとなるプラスチックの量も増えています。手軽に使える分、手軽に捨てられてしまう、そうした面もあるのでしょう、2015年には3億トンを超えるまでに増えています。そのうちの約半分が包装容器で、その中でリサイクルされたのはわずか14%、焼却されたのが14%で、残りは何らかの形で環境に残ってしまっています。

環境に残ったプラスチックごみの一部は、その後、雨や風によって河川に入り、海に流れ出てしまいます。2016年にスイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会では、現在、世界の海には1億5,000万トンのプラスチックごみが存在しており、今後、各国が行動を起こさなければ2050年には魚の量よりもプラスチックごみの量の方が多くなる可能性が高いと指摘されています。

野生生物への影響

海を漂うプラスチックごみによって、海で暮らす生き物の生活が脅かされている例が、世界各地でいくつも報告されています。

2019年3月、フィリピンの海岸に打ち上げられたクジラの胃から40kgものビニール袋が出てきたというニュースがありました。日本でも、2018年に神奈川県鎌倉市の浜辺に打ち上げられたクジラの赤ちゃんの胃の中からプラスチックごみが出てきました。
クジラだけではなく、ウミガメや海鳥などの他の海の生き物が、プラスチックを食べてしまったり、プラスチック製の袋や網にからまって傷ついたり死んでしまったりする例がたくさん報告されています。

また、小さなプラスチックの粒子「マイクロプラスチック」による影響も注目されています。プラスチックが海を漂ううちに、波や紫外線の影響を受けるなどして、やがて小さなプラスチックの粒子となります。そうしてできた直径5㎜以下のプラスチックが「マイクロプラスチック」と呼ばれています。洗顔料や歯磨き粉にスクラブ剤として加えられているマイクロビーズや、ポリエステルなどの化学繊維を洗濯した時に出るマイクロプラスチックファイバーからも発生します。これらのマイクロプラスチックには、もともと有害物質が含まれているものもあるし、海水を漂ううちに有害物質を吸着してしまうこともあります。非常に小さい粒子なので、サンゴのような小さな動物や、魚や貝などがエサと間違えて食べてしまい、ひいてはそれらを食べる魚や鳥にも取り込まれてしまうため、このような生き物への影響が懸念されています。

未来のために出来ること

レジ袋は、私たちにとっても非常に身近で、使い捨てプラスチックの象徴的な製品です。しかし、プラスチックごみ全体に占めるレジ袋の割合は小さく、レジ袋だけ減らしてもプラスチックごみ問題が解決するわけではありません。今回のレジ袋有料化についての環境省は以下のように見解を述べています。

『日本のプラスチックごみ全体のうち、レジ袋はごく一部と言われているため、レジ袋だけ減らしてもプラスチックごみ問題が解決するわけではありません。
レジ袋は、国民の皆さんが1人1日1枚使っていると言われるほど非常に身近なものです。普段、何気なくもらっているレジ袋の有料化を通じて、そのレジ袋が本当に必要か考えていただくきっかけに、さらには、プラスチックごみを取り巻く様々な問題、海洋プラスチックごみ問題や資源の枯渇、地球温暖化等について知っていただき、プラスチックとの付き合い方を見直す機会としていただきたいと考えています。』

環境省『みんなで減らそうレジ袋チャレンジ』より抜粋
 

海の資源に多くを依存する日本人が、快適さと便利さを優先させた結果、皮肉にも海洋汚染の一因となってしまっているということについて知ること、そしてこれからどのようにプラスチック製品と付き合っていけばいいのか考えていくきっかけになれば、というのが制度の目的でもあるようです。

大切に使おうマイバッグ

レジ袋を辞退して、マイバッグを使う。しかしこのマイバッグも数回使って捨ててしまったのでは、意味がありません。マイバッグを長く大切に使うことがエコにつながります。

コープさっぽろのエコマイバッグは、強くて丈夫なジュート繊維を使用しているため、その耐久性はバツグンです。また、天然由来の素材なので焼却しても有害物質が発生せず、土に埋めても完全分解され、土に還ります。環境に優しい本当の意味でのエコバッグを目指しました。

未来を生きる子どもたちに、美しい環境を残していくために、まずは、かならずしも必要ではないもの、他に代えることができるものから、プラスチックの使用を減らす努力をしてみませんか。
 

コープさっぽろのエコマイバッグ(←詳細はこちらをクリック)は、トドックまたは店舗でも販売しております。
 


編集・脚本 チームコンシェルジュ

〈参考文献〉

『追いつめられる海』井田徹治著 岩波書店 2020年

『海洋プラスチック』保坂直紀著 角川新書 2020年

政府広報オンライン『なぜ、海のプラスチックごみが問題なの?』
https://www.gov-online.go.jp/k/contents/useful/201905/1_01.html

経済産業省『レジ袋削減にご協力ください!』
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html

環境省『みんなで減らそうレジ袋チャレンジ』
http://plastics-smart.env.go.jp/rejibukuro-challenge/