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北海道の住まいづくりガイド⑨ ハウスメーカー、工務店選びのポイント
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ここでは、設計・工事監理・工事施工の全てを一つの会社が請け負う一式受注タイプのハウスメーカーや工務店を選ぶときのポイントについて説明します。
性能やデザイン、コストも重要ですが、ここに説明するポイントも頭の片隅に置いていただけるとよいでしょう。(公開日:2018年8月1日)

一式受注というのは工事監理の第三者性が低いことを意味します。つまり、頼れる味方がいないのですから、より慎重に依頼先の信用性を見極める必要があるということを肝に銘じておきましょう。

依頼先選びのポイント 信頼性

 

住宅会社を選ぶときに一般消費者が重視するのは、住宅の性能、住宅の立地、デザイン、価格です。これらが上位を占め、次いで、設備性能、アフターサービス、プランの提案力などが続きます。
住宅市場動向調査 | 住宅金融支援機構

ですが、これら重視する要素の中に「相手の信頼性」というのは見つけられません。その理由は、信頼性はあって当たり前のものだからです。大きな買い物ですから、信頼できない相手から買いたいと思はないのは当然です。

しかし、この大切な信頼性の確認にみなさんどれだけ意識を注いでいるのでしょうか。相手は百戦錬磨のプロですから信頼できそうに見えて当然です。

ここでは、流されてしまいがちなこのテーマに着目し、信頼性とは何かということを具体的に目に見えるように要点を押さえて説明したいと思います。

担当者の感じや雰囲気がいいというのも一つの材料ですが、信頼性というのはそれだけではない、簡単に見極めることが難しいものです。依頼先を見る際、確認したいポイントについて挙げてみます。

■隠れてしまう部分に対する安心があるか

隠れてしまう部分に対して明らかにする姿勢や、その部分に対する信頼性を高めようと努力する姿勢は、相手の信頼をはかるうえでとても大切な要素になります。

☑構造に対して強い自信があるか
構造見学会などで建築中の現場を積極的に見せる会社は、一定の自信を持っている証拠です。本来、「構造が一番大事だ」ということをポリシーとして掲げてるくらいの会社を選びたいものです。

現場をあまり見られたくない雰囲気を出したり、構造の詳細な工事写真の引渡しなども応じてないという会社は慎重さが必要です。

☑断熱・気密施工の信頼性があるか
どんなに優れた省エネ設計でも、現場の施工がずさんだと、期待通りの省エネルギー効果が得られません。さらに、それが不具合発生の原因にもなります。

北海道においては、断熱はBIS(※)による設計・施工であるかどうかが信頼施工の一つの目安になるでしょう。

※BISとは
住宅等の温熱環境要件に関して高度な専門的知識を有する断熱施工技術者をいいます。
BIS/BIS-Eとは | 一般社団法人 北海道建築技術協会

なお、北海道が定めたルールを守って良質な家づくりができる住宅事業者の登録・公開制度である「きた住まいる」では、そのルールの一つにBISなどによる専門技術者による設計・施工が定められています。
きた住まいるメンバーとは?ーきた住まいる | 北海道建設部住宅局 建築指導課

■作り手の顔が見えるか

住宅建築は、元請けとなる住宅会社から下請け業者や職人さんへの外注によって成り立ちます。一般的には普段から付き合いのある協力業者さんにお願いしますが、時の事情によって、素性の良くわからない職人さんに仕事を依頼しなければならない場合もあります。

これらの手配は通常、施主が口出しできないため、どのような下請け業者や職人さんが当たるかは相手次第というリスクがあります。

しかし、住宅会社は自社の信頼を損ねるような仕事はさせたくないので、しっかりとしたプロ意識の高い職人さんに仕事を任せたいという思いがあります。

ですが、そうした住宅会社のプライドには温度差があり、どこまでそこにこだわり、どこまでそれをしっかり施主に伝える努力をしているかに大きな差があります。

あなたの現場を担当するのはこの人たちですと、その人たちの仕事ぶりや態度、現場の整理整頓状況を見せてくれるのか・・・住宅会社の元請けとしての責任感が感じられるかどうかチェックすることも大切です。

■全てを託せる相手か

まだできてもいないものに、大金を支払うことを約束するのが工事請負契約です。自分が大金を出して成し遂げたいことを達成してもらう・・・その依頼相手の中心となる担当者の人間性が満足度を大きく左右します。

☑担当者の説明力を見る
・説明内容の信ぴょう性(専門的に正しいことを言っているか)
・施主の個性に合わせた説明の丁寧さ

こうした点をしっかり確認しましょう。施主にとって一番大切なのは、できばえが素晴らしいかではなく、家づくりで抱えている不安が解消されるかどうか、お願いしたことがしっかりと反映されるかどうかです。

施主の気にするポイントはそれぞれ異なり個性があります。その個性を無視し「そもそもこういうものなんで・・・」と普段の流儀を押してけるのではなく、施主の不安や期待をていねいにくみ取り、それに100%の説明で応える・・・。

・何ができて何ができないのか・・・
・出来上がりはどうなり、どんなデメリットがあるのか・・・

実はこうした説明の有無が、施主の満足度を大きく左右します。質問に対する答えが、契約に結び付けるための説明ではなく、施主の将来を考えた説明・提案であるかを見極めましょう。

企業ですからお客さんが契約してくれる可能性を探りながら、力の入れ具合を加減しなければならない事情もあるでしょう。しかし、そういう事情を度外視して、相手が本気で自分のために言ってくれてるかどうか・・・難しいことですが、そこをしっかり判断しましょう。

☑担当者の段取り力を見る
また、事を円滑に運ぶ段取り力についても注意を向けましょう。例えば、

・打合せ時間に頻繁に遅れる。
・打合せでお願いしたことが図面に反映されていない。
・取りやめた設計が費用だけ内訳書に残っている。
・追加でお願いした設計について費用の説明を後回しにされる。
・説明に納得していないのに「とりあえず契約を・・・」と契約を急ぐ。

このような対応を繰り返されると、信頼できなくなるのではないでしょうか。図面では表現しきれない現場への伝達事項などもたくさんあるのが住宅建築です。このような相手に託したのでは、でき上がりに満足がいくとは到底思えません。

外観・性能・コストパフォーマンスがどんなに優れていようと、段取りが悪く、「この人なら託してもいい」と思えないなら、ハンコを押してはいけません

ものづくりは人で決まります。のこぎりを引く技術よりも、施主に丁寧な説明をしてくれる人、施主の意図をしっかりと現場に伝達できる人が中心となってくれるかどうかが極めて大切です。

契約印を押した途端に態度が変わる担当者は少なくありません。そうした人間性も含めてしっかりと相手を見抜くのは難しいものです。しかも、それを契約前に見抜くのですから難業です。

しかし、できる範囲で構いませんので、こうした意識を持ちながら複数の依頼先と話をしてみてください。そうすることで、家づくりの方向性が、少しずつあなたの思いに沿った良い方向に自然と向いていくでしょう。