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暮らしお役立ち情報 No.4

[サービスコード/P00122-00010]
2-3.部位別がん検診の実際・大腸がん検診
暮らしお役立ち情報 No.4

男女ともに、40歳以上は年に1回、大腸がん検診を受けましょう。(公開日:2018年9月20日)

1.大腸がん検診の方法

大腸がん検診の方法として、「効果がある」と判定されている検査は「便潜血検査」、「全大腸内視鏡検査」です。がん検診の中でも効果が最もよくわかっている検診です。

図1 大腸がんの部位別頻度

1)便潜血検査(“効果あり”=○)

がんやポリープなどの大腸疾患があると、大腸内に出血することがあります。この検査は、その血液を検出する検査です。便潜血検査が陽性になった場合には、その原因を明らかにするために、精密検査を受けることが必要です。病変から常に出血しているとは限りませんので、陽性になったから精密検査の代わりに、と便潜血検査を再度行うことは意味がありません。きちんと精密検査を受けることが大事です。
全大腸内視鏡検査と比べて検査精度は劣りますが、安全、簡単、安価で、一度に多くの検査が実施可能であるなど、検診方法として非常に優れた特徴があります。また、最も信頼性の高いRCT(無作為化比較対照試験)で効果がきちんと証明されています。


2)全大腸内視鏡検査(“効果あり”=○)

大腸すべてを内視鏡で観察する方法で、がんやポリープに対する診断精度が非常に高いのが特徴です。
問題点としては、まれに出血や腸に穴が開く(穿孔)などの事故が起きる可能性があることです。また、比較的高度な技術を必要とする検査で、多くの受診者に行うことはできません。検診法として広く行った場合には上記のような不利益が懸念されることもあり、現時点では住民検診で推奨されていません。専門施設では検診法の1つに入りますが、現時点では、検診法よりは主として精密検査のための検査法です。

2.大腸がん検診の精密検査

便潜血検査では、約7%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。精密検査の方法は何種類かありますが、全大腸内視鏡検査が基本です。

 

1. 全大腸内視鏡検査

精密検査として第一に推奨される方法です。内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸の全部位を撮影し、がんやポリープなどの病変がないかを確認します。必要に応じて、大腸の粘膜の細胞を採る検査をすることがあります。採取した細胞は、悪性かどうかを病理学的に診断します。検査の準備として、鎮痙剤(ちんけいざい:大腸の動きを抑える薬)や鎮痛剤の注射が必要です。全大腸内視鏡検査は大腸の中の小さな病変を見つけることが可能で、注腸エックス線検査でがんなどが疑われた場合にも用いられることがあります。ただし、注射によるショックや、内視鏡の操作によっては出血や穿孔(大腸の粘膜に穴を開けてしまうこと)といった医療事故の危険が、まれですがあります。検査を受ける前には、担当医から検査の準備と内容について説明を受けてください。

 

2. 注腸エックス線検査

肛門からチューブを挿入してバリウム(造影剤)と空気を注入し、大腸の全部位のエックス線写真を撮影して、がんやポリープなどの病変がないかを確認します。大腸のどこに病変があるのか、体の向きを変えながらさまざまな方向から撮影します。この検査ではがんの多い直腸、S状結腸がしばしばみえにくくなるため、S状結腸内視鏡検査を併用します。
検査前日には、検査のための準備食(検査食)と下剤を用い、検査当日の朝食は食べられません。また、検査中から検査後にわたり、大腸内に注入されたバリウムと空気でおなかの張った感じがします。さらにバリウムが原因となり、検査後に便秘することがあります。

3.大腸がん検診の結果を受けて、次回の検診は

[検査で異常なしの場合]

40歳以上の方は、年1回、便潜血検査による大腸がん検診を受けましょう。

 

[精密検査でがん以外の病気が指摘された場合]

治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談してください。
 治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査や治療を受けてください。

4.参考文献

1.厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」
2.国立がん研究センターがん予防・検診研究センター;有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版
3.平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
4.平成18年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン
5.平成20年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班 平成21年度厚生労働省がん研究助成金「「がん検診の評価とあり方に関する研究」班;有効性評価に基づく子宮頸がんガイドライン
6.国立がん研究センターがん予防・検診研究センター;有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版

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編集・脚本 チームコンシェルジュ

<掲載内容の情報源・根拠>
・国立がん研究センター
 がん情報サービス