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暮らしお役立ち情報 No.17

[サービスコード/P00140-00006]
5.薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る
暮らしお役立ち情報 No.17

薬物療法は、抗がん剤を使ってがんを治療する方法です。副作用はある程度予想することができるので、対処の方法を知っておけば、症状を軽くすることができます。(公開日:2018年12月7日)

抗がん剤によってがん細胞の増殖を抑える

がんの薬物療法は、細胞の増殖を防ぐ抗がん剤を用いた治療法で、がんがふえるのを抑えたり、成長を遅らせたり、転移や再発を防いだり、小さながんで転移しているかもしれないところを治療するためなどに用いられます。

抗がん剤(こうがんざい)
がんの治療に用いられる薬剤のことです。がん細胞の増殖を妨げたり、がん細胞そのものを破壊する作用を持った薬です。作用の仕方によって、さまざまな種類の薬があり、単独、あるいは、数種類を組み合わせて用いられます。錠剤やカプセル剤といった経口薬(のみ薬)と、点滴のように血管に直接投与する注射薬などがあります。

 

手術治療や放射線治療が、がんに対しての局所的な治療であるのに対し、抗がん剤は、より広い範囲に治療の効果が及ぶことを期待できます。このため、転移のあるとき、転移の可能性があるとき、転移を予防するとき、血液・リンパのがんのように広い範囲に治療を行う必要のあるときなどに行われます。

抗がん剤単独で治療を行うこともあれば、手術治療や放射線治療などのほかの治療と組み合わせて抗がん剤治療を行うこともあります(集学的治療)。

集学的治療(しゅうがくてきちりょう)
がんの治療法としては、主に、手術治療、放射線治療、薬物療法などがありますが、これらを単独で行うのではなく、がんの種類や進行度に応じて、さまざまな治療法を組み合わせた治療を行う場合があります。これを集学的治療といいます。治療法の組み合わせによって、予想される副作用や治療期間も異なるため、担当医によく確認しておきましょう。

 

また、薬物療法には、単独の薬剤を使って治療する場合と、数種類を組み合わせて治療する場合があります。作用の異なる抗がん剤を組み合わせることで効果を高めることが期待されます。

抗がん剤は、作用の仕方などによって、いくつかの種類に分類されています。化学物質によってがんの増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療を「化学療法」と呼びます。一方、がん細胞だけが持つ特徴を分子レベルでとらえ、それを標的にした薬である「分子標的薬」を用いて行う治療を「分子標的治療」と呼びます。また、がん細胞の増殖にかかわる体内のホルモンを調節して、がん細胞がふえるのを抑える「ホルモン剤」を用いた治療を「ホルモン療法(内分泌療法)」と呼んでいます。

薬物療法には、のみ薬と点滴・注射による方法があります

薬物療法には主に、錠剤やカプセルなどの「のみ薬」による方法と、「点滴や注射などで血管(静脈)に直接抗がん剤を注入する方法」があります。静脈から点滴や注射によって抗がん剤を入れる場合には、腕の血管など細い静脈に点滴の管を介して入れる方法と、太い静脈である中心静脈まで挿入されたカテーテル(細い管)を介して入れる方法、同じく中心静脈に「ポート」(図1)という装置を皮下に埋め込み、必要なときに、体外から薬剤を注入する方法があります。

また、肝臓など、がんの種類によっては特定の臓器に流れる動脈にカテーテルを置いて、血液の流れに乗ってその臓器に集中的に抗がん剤治療を行う「動注」という方法が行われることもあり、この場合にもポートを使って薬剤の注入が行われます。

図1:埋め込み型のポート

このほか、治療によっては、腹腔(おなかの中)内、胸腔(肺の周りの空間)内、脳脊髄液(脳や脊髄の周りにある液体)などに注入することもあります。

実際の治療の方法は、がんの種類、広がり、病期、ほかに行う治療や、患者さんの病状などを考慮して検討されます。特に注射や点滴による化学療法の場合、“治療の日”と“治療を行わない日”を組み合わせた1~2週間程度の周期を設定して治療を行います。この周期になる期間を「1コース」「1クール」などの単位で数え、一連の治療として数回繰り返して行われるのが一般的です。途中で効果や副作用の様子を見ながら継続します。副作用が強く出た場合には、量を調整したり、治療を休止あるいは中止することもありますが、副作用を抑える治療を組み合わせたり、副作用に対する治療を併用しながら、治療を進めていきます。

近年では、抗がん剤の進歩や、副作用として起こる症状を緩和したり、副作用に対する治療(支持療法)が進歩してきたことから、1コース目だけ入院して、2コース目以降は外来で化学療法を行ったり、はじめから入院しないで外来で化学療法を行うことが多くなっています。

支持療法(しじりょうほう)
がんそのものに伴う症状や治療による副作用に対しての予防策、症状を軽減させるための治療のことです。例えば、感染症に対する積極的な抗生剤の投与や、抗がん剤の副作用である貧血や血小板減少に対する適切な輸血療法、吐き気・嘔吐(おうと)に対する制吐剤(せいとざい:吐き気止め)の使用などがあります。

 

治療を受ける際には、治療の方法や予定、予想される副作用やその対処法について担当医に事前に確認しておきましょう。また、ほかに服用している薬がある場合や妊娠中の場合などには、あらかじめ伝えておくことが必要です。

◇◆外来化学療法について◆◇
通院による抗がん剤治療は、自宅から病院に通いながら治療ができ、普段の生活リズムを維持しながら生活できる一方で、いつも医療者がそばにいるわけではないという不安があるかもしれません。治療に用いる薬剤の種類や治療の予定によって、白血球が減る時期に入院する、外出を控えて感染予防を心がける、など気を付けておくことが異なります。どのような症状に注意すべきか、症状が出たらどのように対処すればよいのか、担当医や看護師に確認し、何かあったときの連絡先も聞いておくと安心できます。

化学療法

化学療法に用いられる薬剤は、がんの種類、進行度(病期)、これまで受けた治療などによって異なります。主な薬剤としては、がん細胞の増殖を抑制する「代謝拮抗(きっこう)剤」、がん細胞のDNA(デオキシリボ核酸:細胞の遺伝情報を伝達する生体物質)を破壊する「アルキル化剤」、がん細胞膜を破壊したり、がんのDNAの合成を抑える「抗がん性抗生物質」、細胞が分裂するのに重要な微小管(びしょうかん)というものの働きを止めることによって作用する「微小管作用薬」、DNAと結合することによりがん細胞の分裂を抑える「白金製剤」、DNAを合成する酵素(トポイソメラーゼ)の働きを抑えることによって作用する「トポイソメラーゼ阻害(そがい)剤」などがあります。

化学療法は、活発に増殖する細胞に対して治療効果を及ぼすため、がん細胞だけでなく、皮膚や腸管、骨髄、毛根(毛母(もうぼ))の細胞など、細胞が分裂したり増殖することで機能を維持している組織や器官に副次的に影響が起こります。これを、「薬物有害反応」と呼んだり、がん細胞に対する治療効果という「主作用」に対して「副作用」と呼んでいます。

化学療法の影響によって、血液細胞が減ったり、口腔(こうくう:口の中)や胃腸の粘膜の再生が起こりにくくなったり、髪の毛や爪が伸びなくなったり、感染しやすくなったり、貧血、吐き気、口内炎、脱毛などの症状が現れたりします。起こり方や起こりやすさは使用する抗がん剤や量、期間によって異なります。種類によっては、心臓、腎臓などや、生殖の機能に影響が出ることもあります。性別に関係なく不妊の可能性があるとき、女性で妊娠の可能性のあるときや、将来的に妊娠・出産を希望するときは、あらかじめ担当医に確認しておくことが必要です。

副作用の起こり方には、吐き気、だるさ、食欲低下、下痢、手足のしびれなどの自覚症状、肝臓・腎臓・骨髄への影響といった検査でわかる障害などさまざまです。それぞれ起こる時期も、治療後数日以内、1~2週間後、それ以降(1ヵ月以上後)に起こるなど、内容によって異なります(表1)。

表1:一般的な化学療法による副作用と起こる時期

がん研究振興財団パンフレット「抗がん剤治療を安心して受けるために」より一部改変

化学療法による副作用に対しては、つらい症状を薬剤で抑えたり、生活上の工夫で症状を軽くすることができます。また、化学療法中に高熱を伴って、白血球のうち感染防御の働きを持つ好中球の減少を認めたときは、入院して抗生剤投与、必要に応じて好中球の増殖を促す薬(G-CSF:顆粒球コロニー刺激因子)を注射する場合もあります。予想される副作用を担当医から聞いておき、その対処法について看護師や薬剤師などにも相談しながら、自覚症状への対応や必要な検査などを聞いておくと、自分に合った対処法を見つけやすくなります。

化学療法の主な副作用と対処法

■アレルギー反応

点滴投与直後から、皮膚に発疹やかゆみなどの症状が出ることがあり、ひどい場合には血圧の低下や不整脈、呼吸困難を起こすこともあります。頻度は多くありませんが、薬を初めて使うときに起こりやすいです。

対策:発疹やかゆみなどのアレルギー症状が現れたら、すぐに担当医や看護師に知らせてください。

■骨髄抑制

化学療法により血液をつくり出す骨髄の機能が障害を受けると、白血球や赤血球、血小板などが減少します(骨髄抑制)。化学療法の1~2週間後に影響が強く出ます。白血球のうち、特に感染を防ぐ働きを持つ好中球が減ることによって、細菌や真菌(カビ)に対する抵抗力が弱くなり、口の中や肺、皮膚、尿路、腸管などで感染症を起こしやすくなります。また、咳(せき)や痰(たん)が出る、皮膚が腫はれる、膿(うみ)がたまる、尿が濁にごる、下痢がある、などのはっきりした感染の様子がない状態で発熱すること(好中球減少性発熱)もあります。

対策:白血球、特に好中球が少ない時期には入院して治療を行うこともあります。こまめにうがいをし、食事の前やトイレの後などは必ず手を洗い、シャワー、入浴などで体を清潔にし、感染予防に努めましょう。起床時と就寝前、毎食後には口の中を傷つけないやわらかい歯ブラシで口の中を清潔に保ちます。通院して治療を行う場合には、人の多い場所への外出をなるべく避け、マスクを着用し、帰宅したらうがいをし、手をしっかり洗いましょう。切り傷など、けがをしないように注意します。急な発熱や寒気、排尿時の痛みなどの症状が現れたら、担当医に連絡しましょう。

感染症(かんせんしょう)
微生物が体内に入り、共存することを「感染」と呼びます。人の体には生来、無数の微生物がいますが体に影響はありません。ところが、毒性の強い微生物が体に進入し増殖した場合には、重大な症状を引き起こすことがあります。この状態を「感染症」といいます。感染が起こった場所で呼ばれたり(肺炎、髄膜炎(ずいまくえん)など)、感染の原因となる微生物の種類(細菌感染症、真菌感染症など)で呼ばれたりします。免疫力が低下した状態では、毒性の弱い微生物でも感染症が起こることがあります(日和見感染症(ひよりみかんせんしょう))。

◇◆感染予防のために◆◇

・食事、薬の内服、排泄(はいせつ)の前後、外出後、掃除の後、植物やペットに触れた後は、手指用の洗浄剤で丁寧に手洗いをしましょう。

・食事や薬の内服の前後、外出後には、うがいをしましょう。口内炎ができたり、口の中がしみるときは、生理食塩水でうがいをしましょう。

・歯垢(しこう)、歯石、虫歯は口腔内感染を悪化させてしまうため、必要に応じて、化学療法の前に歯科を受診し、歯の治療をしたり正確な歯磨き方法を身に付けるための練習をしたりすることがあります。また、口内炎ができてしまったら、痛みに応じてやわらかい歯ブラシに変更しましょう。

・入浴やシャワーをなるべく毎日行い、清潔な衣服に着替えましょう。

・食事はなるべく調理後すぐにとるなど、食中毒対策をとりましょう。また、好中球減少の時期には、加熱処理された食事をとりましょう。

・できるだけ部屋を清潔にしましょう。好中球減少の時期には、ペットのそばに近づくことや生花を置くことは避けましょう。

・外出時にはマスクを着用し、人の多い場所への外出や買い物はなるべく避けましょう。

・感染の予防や治療のために、医師の指示どおりに抗生物質や抗真菌剤、抗ウイルス剤を内服しましょう。

・インフルエンザワクチンは、毎年の接種が推奨されています。アレルギーなどで接種できない場合を除き、家族全員で接種して予防しましょう。ほかのワクチンについても、担当医に相談しましょう。

・感染の兆候を知るために、毎日体温を測りましょう。急に熱が出たときには担当医に連絡しましょう。

■吐き気、嘔吐

「ムカムカする」「吐きそう」などの症状が現れ、嘔吐することもあります。脳の神経が刺激されて起こると考えられていますが、治療に対する不安などの心理的な要因も関係しています。

対策:多くの場合、担当医から吐き気を抑える制吐剤が処方されますので、指示どおりにのみましょう。吐き気を感じたら、冷たい水などでうがいをするとよいようです。食事は無理をせずに食べられるものを探し、少しずつ食べるようにしましょう。吐き気や嘔吐が長く続くときや、食事や水分をほとんどとれない状態が続くこともあります。この場合には点滴によって水分や栄養補給をするなどの治療が行われますので、つらいときには無理をしないことが大切です。

■下痢

腸の粘膜が化学療法の影響によって荒れて炎症を起こしたり、感染が起こることで下痢になることがあります。

対策:普段から消化のよい食事と十分な水分補給を心がけます。担当医から下痢止めの薬が処方されることがあります。脱水症状(めまい、ふらつき、尿の量が少ないなど)がある、1日4~6回以上の激しい下痢がある、下痢が3~4日以上続く、血液が混じったり痛みが強い、などのときには担当医に連絡しましょう。

■便秘

腸の動きを調節している神経に化学療法の影響が及ぶなどで腸の動きが弱くなったり、食事の量が減るなどによって便秘になることがあります。

対策:多めの水分をとり、無理のない範囲で体を動かすことを心がけます。便秘が長く続き、おなかが張って苦しいときは、担当医に連絡が必要です。

■口内炎

口の中の粘膜に対する抗がん剤の作用や感染により口内炎(口腔粘膜炎ともいいます)ができ、痛みが出たり食べ物がしみたりします。

対策:化学療法を始める前から、口の中を清潔にし、予防に努めます。虫歯や歯周病も、できれば事前に治療しておきます。こまめにうがいをすると、乾燥を防ぐとともに感染の予防にもなります。起床時と就寝前、毎食後にやわらかい歯ブラシで歯を磨き、口の中を清潔にします。食事は粘膜を刺激しないように、かたいものや熱いもの、香辛料、アルコールなどの刺激物は避けましょう。痛みがあれば我慢しないで担当医に相談しましょう。炎症を抑えるうがい薬、塗り薬や痛み止めなどが処方されることがあります。

■貧血

抗がん剤により、血液をつくる骨髄にある造血幹細胞の機能が障害され、赤血球が減少したり、消化管などから出血することによって貧血が起こります。だるい、疲れやすい、めまい、息切れなどの症状が現れます。

対策:出血が原因の場合には、出血を止める治療を行います。短期間で貧血を改善させる方法はなく、貧血が高度の場合には、輸血による治療を行います。だるさ、ふらつき、めまいなどの症状があるときには担当医に相談しましょう。

■出血傾向

血小板が減少することで、出血しやすい、出血すると血が止まりにくいといった症状が現れます。鼻血や歯ぐきの出血、皮下の出血斑などが起こりやすくなります。

対策:転倒やけが、打撲に注意します。歯ブラシは毛のやわらかいものを利用し、歯ぐきを傷つけないようにします。出血したときには、出血した場所をタオルなどで圧迫して止血します。血小板が著しく減っているときには、脳出血や消化管出血を起こしやすくなるため、入院して血小板の輸血をしなければならない場合もあります。

■疲労感・だるさ

疲れやすい、気力が出ないなどの症状が現れます。化学療法そのものの影響と、吐き気や貧血などの副作用を含む、さまざまな要因が重なって起こると考えられています。

対策:無理のない範囲で仕事や家事をすることにして、調子の悪いときは十分休養をとるようにしましょう。

■脱毛

毛の根元にある細胞が化学療法の影響を受けると脱毛が起こります。髪の抜け方には、抗がん剤の種類、使う期間や量、個人によって差があり、頭皮だけでなく体毛やまゆ毛なども抜け、精神的にもつらい症状の1つです。頭皮に痛みやかゆみを感じる人もいます。

対策:脱毛の起こる時期や、再び生えてくると予想される時期を聞いておくと、心の準備ができます。脱毛が始まったら、医療用のかつら(ウィッグ)や帽子などを上手に取り入れるとよいでしょう。直射日光や乾燥に気を付けるなど、頭皮を保護することも大切です。髪を洗うときは地肌を強くこすらないように注意して洗い、すすぎはぬるま湯で流す程度にします。

■手足のしびれ感

指先や足先の感覚が鈍くなったり、しびれやピリピリとした違和感が出ることがあります。

対策:手足の感覚が鈍くなるので、やけどやけがに気を付けましょう。手袋や靴下で手足を保護するとよいでしょう。指先の運動やマッサージで血行をよくすることが大切ですが、回復しにくい症状です。症状が強い場合には、担当医や看護師に相談してみましょう。

分子標的治療

化学療法による治療は、がん細胞の増殖を抑えて攻撃する一方で、正常な細胞も攻撃するために薬物有害反応が生じます。しかし、近年の科学の進歩により、がん細胞に特異的に多くなっている遺伝子やタンパク質を抑制する薬剤が開発されています。従来型の抗がん剤に認められるような脱毛、血液毒性、吐き気、生殖細胞への副作用などが少なく、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫、肺がん、乳がん、大腸がん、肝細胞がん、消化管間質腫瘍、腎細胞がんなどで有効な治療手段になりつつあります。

■分子標的治療の主な副作用とその対処法

分子標的薬による副作用は薬の種類によってさまざまです。一般的には、発熱、吐き気、寒気、だるさ、皮膚の発疹などの副作用が現れます。薬によっては、頻度は少ないものの重症な副作用(インフュージョンリアクションとよばれるアレルギーのような症状、間質性肺炎、心不全、出血、消化管穿孔(せんこう:穴があくこと)、塞栓症(そくせんしょう)、皮膚炎など)が報告されていますので、治療前の担当医の説明をしっかり聞いておきましょう。

ホルモン療法(内分泌療法)

がんの種類によっては、がん細胞がふえるためにホルモンの作用を必要とします。このため、特定のホルモンを分泌する部分を手術で取り除いたり、体の外からそのホルモンの作用を抑えるホルモンを投与して、がんがふえるのを抑える治療法です。化学療法のようにがんそのものを攻撃する作用はなく、がんの発育を阻止して進行を抑える治療法です。治療の対象となる主ながんは、乳がん、子宮体がん、前立腺がんなどです。

■ホルモン療法の主な副作用とその対処法

ホルモン療法は長期間にわたることが多いので、副作用について治療前にあらかじめ確認しておきましょう。ほてりやむくみ、体重がふえるなどの症状が起こります。症状は一過性であったり、徐々に慣れてくることが多いのですが、副作用が強く治療の継続が難しい場合には、薬の種類を変更することもあります。

◇◆薬物療法(抗がん剤治療)を受ける前に、あらかじめ担当医に伝えておいた方がよいこと◆◇

・ほかに服用している薬の名前(ほかの診療科や病院で処方された薬、薬局で購入した薬)。

・今まで薬による副作用を経験したことがあれば、その薬の名前と症状。

・今までに薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療を受けたことがあるかどうか。

・薬や食べ物に対するアレルギーの有無。

・妊娠、授乳中かどうか。

・今後、子どもを持ちたいと望んでいるかどうか。

・健康食品を利用している場合には、その内容について。

◇◆薬物療法(抗がん剤治療)を受ける前に、聞いておきたいこと◆◇

・薬の名前は何ですか。

・使う目的は何ですか。

・どのような効果がありますか。

・治療はどのような方法で行われますか(のみ薬、注射、点滴など)。

・治療の期間はどのくらいですか。

・入院の必要はありますか。通院で治療できますか。

・どのような副作用がありますか。

・副作用の対処法はどのようなものですか。

・ほかの治療法はありますか。

・治療の効果はいつ、どのようにして調べますか。

・効かなかった場合の対処法はどのようなものですか。

・治療にかかる費用の目安はどのくらいですか。

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編集・脚本 チームコンシェルジュ

<掲載内容の情報源・根拠>
・国立がん研究センター がん対策情報サービス
 「がんになったら手にとるガイド」