COOP SAPPORO コンシェルジュ

暮らしお役立ち情報 No.17

[サービスコード/P00140-00012]
11.補完代替療法(ほかんだいたいりょうほう)を考える
暮らしお役立ち情報 No.17

がんの代替療法(民間療法)を使用するときには必ず担当医に相談し、自分にとって本当に必要なものか、慎重に検討しましょう。(公開日:2018年12月7日)

補完代替療法は内容をよく吟味して

補完代替療法とは、通常、がん治療の目的で行われている医療(手術や薬物療法〔抗がん剤治療〕、放射線治療など)を補ったり、その代わりに行う医療のことです。健康食品やサプリメントがよく注目されますが、鍼・灸、マッサージ療法、運動療法、心理療法と心身療法なども含まれます。

がんの治療にはいろいろな方法があり、治療後の療養生活が長いことや進行の様子によっては、治療そのものが難しい場合があることから、手術治療や薬物療法、放射線治療といった標準的にがんに対して行われる治療のほかに、いわゆる“民間療法”や“代替療法”と呼ばれる、補完代替療法に関心を持つ患者さんや家族は少なくありません。

補完代替療法についての情報は、書籍やインターネットにも多くあります。どのような目的で、どのような効果を期待して使うのかなど、補完代替療法の情報を見るときには、その内容についてよく吟味する必要があります。

補完代替療法の情報を集める

補完代替療法に関する情報を収集し、検討する上で参考になるウェブサイトです。ぜひ、活用してみましょう。

■国立がん研究センターがん対策情報センター

「がん情報サービス」内の代替療法(健康食品やサプリメント)

■国立研究開発法人 国立健康・栄養研究所

「『健康食品』の安全性・有効性情報」

■厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業

「統合医療」情報発信サイト」

補完代替療法の有効性と安全性の評価を知る

一部の補完代替療法については、その評価を科学的に行ったり、これまでの研究を整理する取り組みや、それに基づいた効果や安全性の評価が専門家、研究者によって行われています。これらの結果は「有効性が科学的に確認されている」というものではなく、多くは「効果は未確認だが、重大な害を及ぼす可能性は低い」という、いわば消極的な容認の判定がなされていることに留意する必要があります。また、通常のがん治療の効果を弱めたり、がんの危険を高めることから「使うべきではない」という判定がなされているものもあります。

補完代替療法について、必ず担当医に相談しましょう

集めた情報が正しいのかどうかを見分けるのは難しいものです。関心のある補完代替療法があれば、その中身について、まず担当医や看護師などに意見を求めてみましょう。あなた自身の体の状態や病気の進行度、受けている治療の内容も踏まえた上で、よく検討することが大切です。
がんに対する治療効果が科学的に証明されたものはありません
補完代替療法には、治療効果、つまりがんの進行を遅らせる、生存率を高める効果が証明され、治療法として勧められているものは現段階では1つもありません。従って、効果が期待できる治療法として見なされていません。同じく、吐き気やだるさなど、がんに伴う症状を和らげるための代替療法についても、治療法として勧められると判定されているものは、1つもありません。

補完代替療法を自分や家族で考えるときには、まずこのことを踏まえて検討する必要があります。

生存率(せいぞんりつ)
ある一定の期間経過した集団について、その時点で生存している患者さんの割合のことで、通常は百分比(%)で示されます。生存率は、治療の効果を判定する最も重要かつ客観的な指標です。診断からの期間によって、生存率は異なってきます。部位別生存率を比較する場合やがんの治療成績を表す指標として、5年生存率がよく用いられています。がんの種類や比較などの目的に応じて、1年、2年、3年、5年、10年生存率が用いられます。生存率は、計算する対象の特性(性別や年齢)、進行度(早期のがんか進行したがんか)や、計算する対象の選び方(外来患者さんを含めるか、入院患者さんだけか、来院した患者さんをすべて含んでいるか、など)に大きく影響を受けます。そのため、複数の施設(病院)を比較したり、いくつかの部位を比較する場合は、どのような対象について生存率を計算しているか注意する必要があります。

◇◆あなた自身に問いかけてみましょう◆◇

■この補完代替医療は、自分に合っていると思えるか。

・ この補完代替医療は、心地よいものか。
・ この補完代替医療の施行時間は、長すぎないか。
・ この補完代替医療を行うのに、通院距離は遠くないか。
・ この補完代替医療を行うのに、予約は簡単に取れるか。
・ この補完代替医療を行うのに、お金がかかりすぎないか。

■補完代替医療を受ける場所やスタッフに不快な気分を感じなかったか。

■補完代替医療の専門家は、標準的ながんの治療をサポートしてくれるか。

厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究班」編集 「がんの補完代替医療ガイドブック」第2版より一部改変

次のページ


編集・脚本 チームコンシェルジュ

<掲載内容の情報源・根拠>
・国立がん研究センター がん対策情報サービス
 「がんになったら手にとるガイド」