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暮らしお役立ち情報 No.70

[サービスコード/P00252-00001]
身近な問題かもしれません。「ヤングケアラー」
暮らしお役立ち情報 No.70

「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものことです。ヤングケアラーは、勉強に励む時間、部活に打ち込む時間、将来に思いを巡らせる時間、友人との時間といった「こどもとしての時間」と引換えに、家事や家族の世話をしています。
家族の様々な事情があるなかでも、こどもがこどもらしい生活をするために、現在、彼らをサポートする国や地方自治体、民間団体の取組が広がっています。

ヤングケアラーとは

「お手伝い」の域を超えた、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行うなど、その責任や負担が重いものです。それによってこども自身がやりたいことができないなど、学業や友人関係などに影響が出てしまうこともあります。

ヤングケアラーが行っている家事や家族の世話は多岐にわたりますが、一般に多いのは、食事の準備や掃除、洗濯といった家事、見守り、きょうだいの世話、目の離せない家族の励ましなどの感情面のサポートなどです。

【グラフ1】年代別の世話をしている家族の有無

資料:厚生労働省「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」(令和3年3月、令和4年3月)」より政府広報室作成

令和2年度(2020年度)と令和3年度(2021年度)のヤングケアラーの実態調査によると、世話をしている家族が「いる」と回答したのは小学6年生で6.5%、中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%、定時制高校2年生相当で8.5%、通信制高校生で11.0%、大学3年生で6.2%でした。
 

【グラフ2】年代別の平均1日当たり世話に費やす時間

資料:厚生労働省「ヤングケアラーの実態に関する調査研究(令和3年3月、令和4年3月)」より政府広報室作成

世話をしている家族が「いる」と回答した人に、平日1日当たり、世話に費やす時間についても質問したところ、年代ごとにバラつきがありますが、「7時間以上」世話に費やしている人が通信制高校生では24.5%、中学2年生では11.6%という結果になっています。

ヤングケアラーが抱える問題点

こどもが家事や家族のケアをすることは、悪いことではありません。例えば、家事や家族の世話などをその後の人生でいかすことができている、と話す元ヤングケアラーもいます。

しかし、もしもケアに携わるこどもが、自分の時間が取れない、勉強する時間が十分に取れない、相談できる人がいなくて孤独を感じる、ストレスを感じる、友人と遊ぶことができない、睡眠が十分に取れないと感じているなどの場合、それはこどもの権利が守られていない状態の可能性があります。中には、そうした影響を感じながらも自分がヤングケアラーであることに気付いていなかったり、「家族のことは家族でなんとかしなければ」という思いで頑張るあまり、一人で悩みを抱えてしまったりする人がいます。そこで国・地方自治体や民間団体において、ヤングケアラーのこどもたちの声を聞き、一人にしない取組が始まっています。

ヤングケアラー支援に向けた取り組み

ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であることなどから表面化しにくいといわれます。
現在はまず、ヤングケアラーの社会的認知度の向上を図るほか、現状の把握、そして適切な支援につなぐための窓口の明確化などが進められています。
 

NPOや民間団体が行うヤングケアラーへの寄り添い

自分や家族のことを、自治体などの相談窓口に話すのがためらわれる場合でも、同じ経験をしている同士でなら話せるかもしれません。
民間団体では、ヤングケアラー同士や元ヤングケアラーとおしゃべりをするように相談ができ、ヤングケアラーが「自分は一人じゃない」「誰かに頼ってもいいんだ」と思えるような取組が広がっています。

 

参加しやすいオンラインでのコミュニティ

ヤングケアラーや元ヤングケアラー、さらに自身がヤングケアラーかもしれない……と思っている人が、全国どこからでも参加できます。同じ悩みを持つ仲間の存在で、気持ちが楽になることもありますし、新たな気付きや選択肢が生まれる可能性もあります。


Yancle community(ヤンクルコミュニティー)
一般社団法人ヤングケアラー協会が運営し、主に40歳以下のヤングケアラーが参加するオンラインコミュニティーです。ふだんはチャットサービスのSlackを使って、テキストベースで当事者同士の相談や交流、情報収集・交換を行っているほか、定期的にオンライン交流会も開催しています。家族のケアを担う若きケアラーたちが、当事者同士で支え合い、前を向いて自分の人生を歩んでいくための共助型コミュニティーです。


ヤングケアラーのこどもたちを取り巻く状況、感じていることや悩みごと、支援を必要としているかどうかは、それぞれ違います。まずはヤングケアラーという存在を認知し、一人で悩みを抱え、孤独になりがちなヤングケアラーに周囲の人たちが気付き、寄り添うことが大切です。

ヤングケアラーへの支援は広がり始めたばかりです。こどもがこどもらしくいられる社会にするため、私たち一人ひとりがその輪を広げていきましょう。

 

取材協力:こども家庭庁 文責:政府広報オンライン
編集:チームコンシェルジュ